木造建築の仕事と感心

墨付け

墨付けとは、差し金、墨差し、墨つぼを用いて行います。設計図を基に、6尺間、6尺3寸間、6尺5寸間(関東間や京間、九州間など)基準となる、間竿(けんざお)を作り墨出し、墨付けを行います。大きい定規ですね。

その都度、スケールを使用したりしません。水平材(土台、梁、桁、母屋、大引)には、間竿(けんざお)を用い、垂直材(柱、小屋束など)は、柱竿、束竿を、設計図を基に寸法出しし、使います。特に、高さを出す柱竿などは、最も重要で、間違いがないようにしなければなりません。

また、部材の各芯墨を基準とし、芯から5分(15㎜)返り、8分(24㎜)返りが、アリ先など確実に付けます。また垂直材には桁天と言う特異点にも注意し、屋根の形状により隅木の鼻の角度などは、差し金の(こう・こ・げんの法)を用いて墨付けを行います。

こう・こ・げんの法とは、画像は平勾配で通常の勾配です。(こ)を1尺とします。画像は5寸勾配なので、(こう)は、1尺の位置から直角に5寸を取ります。これで、5寸勾配のこう・こ・げんが描かれます。どんな場面に使用するかというと、(かきこう)は、隅木の鼻切りに使用します(投げ隅など)。

(ちょうげん)は、入母屋、寄棟などの隅木がある屋根では、屋根の先は45°には収まらないため、また別の方法で(ちょうげん)を出し使用するなど。

差し金は、ただ直角を描くだけではないことが理解出来ます。差し金を編み出したのは、一説によると聖徳太子とされています。また、こう・こ・げんの法は、4方転びには、必須な技法で、技能士の試験に用いられています。(4方転びとは、お寺などの鐘を掛けている建築物で、よく見かけます。そのミニサイズが技能士の試験)

継手の墨付け(一部)

継手の詳細

切り込み

墨付けた部材を、切り込みます。切り込みは、墨とおりに工作すればよいので、簡単です。

最も重要で、経験と技術が必要な項目は、墨付けです。また、木造は、1つとして同じ構造ではないため多用な経験が必要です。

この墨付けは、切り込みを経験しながら、通常は、覚えていきます。この墨付けが出来なければ家が建たないので、棟梁になるためには必要な技術です。墨付けを覚える気がなく、とうとう墨付けをやったことがないままで、定年を迎える大工も多いです。

今は、プレカットという骨組みを加工してくれるものがありますので、切り込みもなく、覚える機会がないため尚更かと思います。

しかし、独立した時、仕事を頂いた時、墨付けが出来ないから、全部が全部プレカットに頼むというわけには、いかないです。

お客様から、直々に「大工さんの手で行って欲しい」と、手刻みを好まれるお客様、中には、独立したての頃、仕事を頂く元請けの建設会社からも手刻みを指示されたこともありました。

今でも非常に多く、手刻みに拘っている、地元で大手の建築会社もあります。また、プレカットでは出来ない構造であるなど様々な場面もあります。(純和風建築、お寺、トラス(合掌)などは、プレカットでは困難)また、プレカットでは、木造において、最大の強度である、ホソの長さは短く、通し柱にかかるホソの長さは、更に3㎝程度と短く、コミセン留めがプレカットでは不可能などあります。手刻みでは、ホソの長さは貫通させ120㎜程度あります。

ひと昔前までは、木の縮みにより、年月が経つとボルトが、緩んでしまうこともしばしばでした。そのため、コミセン打ちは必要でした。*コミセンは、曲がって打ち込まれていき、物凄い力で、木を引き寄せ、接合させます。
土台穴も貫通させ、基礎まで届かすことも出来ます。*ホソの長さは、重要で近年の地震では、ホソがすっぽ抜けて、損壊している光景を多く見かけました。

「出来ません」となったらお終いですし、継手加工なしで、ぶつ切りにして金物等で繋ぐというわけにもいかないです。結果的にやってみたが、間違いだらけで継手を切断せざる終えなくなったなどと、とんでもない手抜きになります。*間違いは、お客様から見たら、ただの手抜きです。間違いを手直しした家など、事故車と同じです。

また、今は金物で更に強度を上げていますが、しかしこれは、継手やホソが完璧な上での追加効力に過ぎません。

そのため、部材一本、1箇所も間違いは、許されません。

お客様にとっては、一生に一度あるか、ないかのお買物であり、それはそれは、心を込めて取り組まなければいけません。

次回は、差し金は、直角だけではなく、使い方は数十とおりあるということをまとめたいと思います。そして、階段の作り方、四方転びなど。

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